2008年11月8日土曜日

田母神「論文」と防衛大のレベル

 現役の航空自衛隊の最高幹部である空将・田母神航空前幕僚長が、自身と関係の深いと言われるホテル・チェーン『アパグループ』主催の「真の近現代史観」をテーマとした懸賞論文に応募して300万円の賞金を獲得したという。

 その「論文」なるものは「日本は侵略国家であったのか」というタイトルで、僕のプリンターで9枚になるものだが、文字のポイントが大きいので、人によっては6ページで収まるぐらいの物である。

 一読して感じたのは、この「論文」のどこに新しさがあるのか、ここに書き連ねた事柄を具体的に証明する物はいったい何なのか、ということである。

 たとえば「1928年の張作霖列車爆破事件」は「少なくとも日本軍がやったとはできなくなった。」としている。その根拠に「マオ」(ユン・チアン)「黄文雄の大東亜戦争肯定論」そして櫻井よしこ編「日本よ「歴史力」を磨け」をあげている。これらの書き物は田母神氏の「意見」に沿った物を取り上げた物であって、何ら客観性はないし、これまでの戦争肯定論と全く同じ事を述べているに過ぎない。
 現代のいわゆる「歴史学者」と言われる秦郁彦教授ですらそのあたりのことは事実に基づいて発言されている。

 一読して防衛大学卒業生はこの程度の知識や理解力しかないのかと思う。
 
 いまから10年ぐらい前の話になるが、防衛大の山岳部がヒマラヤに挑戦したドキュメントがテレビで放映された。そのときのことだが、カメラマンやスタッフは何ともないのに、防衛大学山岳部の諸君は疲れ果てていた。そのとき僕は「防衛大の学生はたいしたことはない。俺たちの方が優れている」と思った。
 
 そして今回のいわゆる「論文」。体力もそうだが知力もたいしたことがない。

 石破前防衛大臣や安部元総理の取り巻きが戦争について威勢の良いことを言っているが、彼らは民主教育や、憲法を守るといった基本的な事を学んでない。戦争を「かっこいい」とか「やっつける」といった全く空虚な事を夢見てるノー天気な人たちではあるが、実に危険な人たちなのだ。

 もう一度日本国憲法を読んで見ませんか。
 もっとも彼らは日本国憲法を「関係ない」と言うでしょう。
 そのような人がいる限り、戦争という悲劇はなくなりません。

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